商品やサービスが、特定の規格に適合していることを表す認証マークや認定マークを目にしたこともあるのではないでしょうか?
このような認証マークや認定マークを保護する方法の一つとして、団体商標をご紹介します。
◇目次
1.団体商標の登録要件
団体商標とは、事業者を構成員に有する団体が、その構成員に使用させるための商標について登録を受けることができる制度です。よって、構成員に対して個別に使用許諾をせずともよいところが、団体商標の存在意義の一つとして挙げられます。
団体商標の申請が認められる主体(出願人)には制限があり、社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)や、特別の法律により設立された組合は出願人として認められますが、株式会社やフランチャイズチェーンは出願人となることはできません。
例えば、団体商標として認められたものとして下記のような商標があります。
下記は、一般社団法人を出願人として登録されています。
引用:特許庁 商標登録第6312130号
また、下記は組合を出願人として登録されています。
引用:特許庁 商標登録第6069361号
目にしたことがある方も多いかもしれませんが、下記商標も団体商標として登録されています。外国の法人も条件をみたせば団体商標を登録できます。
引用:特許庁 商標登録第5296846号
上記のように団体商標では文字や図形を組み合わせたロゴの登録も可能ですし、もちろん文字のみの登録も可能です。例えば、「都工組」(商標登録第6458164号)も団体商標として登録を受けています。
このように、ある団体が認証・認定したマークがあることで、一定の品質が保持されている印象を受け、消費者にとっては商品・サービスの購買のきっかけになることもあるでしょう。一方で、認証・認定をする団体に加入していない者や、規格に準拠していない者にこれらマークを使用されてしまってはその団体や商品等の信用が落ちてしまいます。
団体商標は、その団体が商品やサービスについて、一定の基準を満たすことを条件としている場合は、構成員が商標を使用できる範囲は、その条件を満たす範囲に限られます。
これにより、商品等の品質が維持され団体の信用を守ることができるというメリットもあります。
2.地域団体商標との登録要件の違い
団体商標と地域団体商標は、団体の構成員に使用させる商標を登録するという点を共通としますが、制度上、様々な点で登録要件が異なっています。
特に大きく異なる点は、商標の構成に関わる点です。団体商標は、文字、図形、及びこれらを組み合わせたロゴの登録が可能ですが、地域団体商標は、地域名+商品(サービス名)等の文字商標に限られています。
それでは、団体商標の方が、色々な態様の商標を登録でき、使い勝手がよいようにも一見見えますが、通常の商標としての登録要件も当然に満たす必要があります。
例えば、一般的には「地域名+商品(サービス名)」の商標は、特定人に独占させることに適さないため、個人や企業は登録できない可能性が高いと言われています。団体商標として申請しても、同じように登録できない可能性がたかいと考えられます。
一方で、地域団体商標の場合、様々な制限がありますが、通常の商標出願では登録要件をみたすことができないような「地域名+商品(サービス名)」の商標登録が可能な場合があります。
3.団体商標の登録方法
団体商標の申請については、願書のタイトルが「団体商標登録願」となること以外は、通常の商標登録出願と基本的に同様となります。
ただし、通常の出願と異なる点として、「団体商標の商標登録を受けることができる団体であることを証明する書面」の提出が必要です。こちらを提出しないと、出願却下となりますので注意が必要です。
自身は団体商標の登録を受けられる条件をみたしているのか、どのような書面を提出したらよいのか不明な場合、知財相談窓口や弁理士事務所などに相談するのが良いでしょう。
4.まとめ
団体商標は、個別の使用許諾がなくとも使用をできるという団体と構成員にとっての使い勝手の良さがあるとともに、その商標を使用する商品やサービスについて、一定の基準を満たすことを条件とすることで、商品等の品質を維持し団体の信用を守ることもできます。
団体商標の取得により、団体や商品等の信用の保護に活用ください。