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地域団体商標とは?ー地域名+商品名は商標登録できるか?ー

十勝和牛、会津みそ、鬼怒川温泉、今治タオル…これらの「地名+商品(サービス)」の名称は、商標登録されているでしょうか?答えは、「YES」です。これらの商標は、地域団体商標として登録されています。本記事では、この地域団体商標について解説します。

1.地域団体商標とは

ある商品名・サービス名に、地域名を付けた商標を取得したいと考えたことはないでしょうか?一般的には、「地域名+商品(サービス名)」の商標は、特定人に独占させることに適さないため、個人や企業は登録できない可能性が高いと言われています。

 一方、地域の特産品など、地域ブランドの保護の重要性は年々高まっています。そこで、2006年、地域ブランドを保護し、地域経済を活性化させることを目的として、地域団体商標という制度が導入されました。

地域団体商標とは、「地域名」+「商品(サービス)名」から構成される商標です。商標は文字のみでなければならず(図案:ロゴ化されておらず)、全体が普通名称(いよかん、さつまいも等)ではないことが地域団体商標として登録されるために必要です。


 通常、「地域名+商品(サービス)名」の組み合わせからなる文字商標は、「全国的に周知」となっているものでなければ登録できません。「全国的に周知」とは、需要者(最終消費者又は取引事業者)の間で全国的に認識されている程度をいうとされ、非常に高い条件です。

地域団体商標制度は、「地域ブランド」として用いられることが多い地域の名称及び商品(サービス)の名称等からなる文字商標について、「全国的に周知」を→「一定の地理的範囲*1である程度有名」へと登録要件を緩和する制度です。


(*1:隣接都道府県に及ぶ程度の範囲を目安と考えられています)

地域団体商標制度とは | 経済産業省 特許庁

2.地域団体商標の要件

以下の要件を満たす場合、地域団体商標として登録が可能です。

(1)地域に根ざした団体の出願であること

 農業共同組合、漁業共同組合、商工会議所、NPO法人、一般社団法人*などが出願人になることができます。 

(*2017年7月31日より、一定の条件下で認められる)

 また、これらの団体には法人格が必要であり、事業協同組合等の特別の法律により設立された組合であること、設立根拠法において構成員資格者の加入の自由が保障されていることなどが必要です。

(2)団体の構成員に使用させる商標であること

 例えば、「今治タオル」を例にとると、登録主体の「今治タオル工業組合」がその組合員に使用させること。あるいは出願人自らが使用し、その構成員の使用が推定されること(団体の性質によって判断されます)。ただし、構成員の使用を禁止していないこと。


(3)商標に含まれる地域の名称と商品・サービスに密接な関連性があること

 「今治タオル」の例だと、今治がタオルの生産地である場合、この要件を満たすことになります。

(4)一定の地理的範囲で有名であること

  当該団体又は構成員が使用することで、一定の地理的範囲で知られているということが必要です。「一定の地理的範囲」は、隣接都道府県に及ぶ程度の範囲を目安と考えられています。

3.地域団体商標を取得するメリット

 地域団体商標を取得するメリットとして、特許庁は以下の3点を挙げています。

 ・メリット1:法的効果
 地域団体商標を取得することにより、他者が不正に地域団体商標を使用した場合、使用の差止請求などの権利行使が可能です。ライセンス契約などもできます。

・メリット2:差別化効果
 取引信用度、商品・サービスのブランド力の増大効果です。地域団体商標の登録がなされると、地域の名物として国に保護されていることになりますので、取引の際の信用度増大等につながり、他商品・サービスとの差別化を図ることが可能です。

・メリット3:その他の効果
 地域団体商標の独占的使用による組合員の増加効果や、ブランドに対する自負の形成効果です。また、地域団体商標マーク(下記)の使用ができ、PRできます。

地域団体商標マーク:地域団体商標として特許庁に登録されていることを示す証。特許庁に使用届を提出することで使用が可能。 

(地域団体商標マーク)

 具体的には、商標の不正使用の未然防止や減少を実現した例(「飛騨の家具」、「小千谷縮」、「美川仏壇」)、類似・模倣品への権利主張をした例(「熱海温泉」、「姫路おでん」、「府中家具」)、企業などとのランセンス契約を実現した例(「静岡茶」、「勝浦タンタンメン」)、マスコミに取り上げられたり、売上を大幅に増加させた例(「一宮モーニング」、「十勝川西長いも」)があります。

・デメリット(不利と思われる点)
 商標権の譲渡はできません。また、従前から商標を使用している者がある場合、これをやめさせることができない場合があります。

権利取得には「周知性」の証明が必要であるため、商品や地域ブランドの認知度向上のための取り組みが必要となります。


権利者(団体)だけでなく、行政や地元企業含め、地域の利害関係者の合意形成など、一丸となってブランドの使用や形成に取り組む必要があります。


その他、商標権の定期的な登録更新や管理(使用)などが必要です。

4.地域団体商標の海外展開について

①海外展開について

地域ブランドの特産品の海外への進出や商品展開の際には、国内における商標の権利化だけではなく、海外(進出先国)における商標の権利化を図る必要があります。

そのためには、海外(進出先国)における商標についての各専門家によるアドバイスや、助成制度による助成金の支援が必要となります。

②海外展開における支援を受けるメリット

・海外での権利化、権利行使、ブランド戦略や知財面のリスクについての専門家によるアドバイス(下記団体等)を得られる

・各助成金(外国出願補助金、冒認商標無効・取消係争支援事業、模倣品対策支援事業)の活用

・税関の輸出・輸入差止申立制度(下記)の活用

③海外展開を支援している団体

・特許庁・海外展開知財支援窓口
ビジネスの形に応じた様々な知財リスクとその対応策についてのアドバイスや、知的財産の権利化、取得した権利を利益に結びつけるための活用方法について提案をしてくれます。(海外展開知財支援窓口

・JETRO
地域団体商標を付した商品やサービスの海外展開において、海外向けブランディング戦略の立案から、海外でのプロモーション・販路開拓活動の実施、および海外における知的財産の保護・活用までハンズオンで支援を実施してくれます。(JETROの「地域団体商標」の海外展開支援

・税関(輸出・輸入差止申立制度)
「商標権などの知的財産の権利者が、自己の権利」を侵害すると認める貨物が輸出又は輸入されるおそれがある場合に、税関に対し、当該貨物の輸出入を差し止め、認定手続をとるべきことを申し立てる制度です。(税関の差止申立制度等

5.まとめ

 地域団体商標の取得により、模倣品対策やブランド力強化など、様々な取組を行うことができます。ぜひこの機会に地域団体商標を取得し、地域の活性化にご利用ください。

 

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    執筆者
    cotobox編集部
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