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登録商標を表す®マークについて(TMマーク、©マークとの違い)

商標の近くにある®マークやTMマーク、一体何を意味するのかご存知でしょうか?

これらは商標登録されていること、あるいは商標であることを示す重要なマークです。

この記事では、®マークとそれに類似するTMマーク、著作権があることを示す©マークなどの意味、法的取り扱い、使い方について説明します。

®マークとは

Rマーク(®)は、アメリカやイギリスなどの商標制度における登録された商標(Registered Trademark)を示すマークです。

日本では「マルアール」や「アールマーク」と呼ぶことが多いようです。

日本の商標法で使用が義務付けられているマークでありませんが、使用すると商標登録済みであると示せます。

なぜ、®マークを付けるのでしょうか?

®マークを名称やロゴに付けることによって、それが商標登録されたものであることを公に表示することができます。また、®マークを付けることによって、その名称やロゴが商標登録されていることがすぐに分かるため、自社商標を第三者に使われることを防ぐ効果もあります。

商標が一般名称化(普通名称化)すると、商標登録されていても、その商標は独占できなくなりますが、®マークには商標が一般名称化することを防止する効果があります。特に、新しいカテゴリーを作った大ヒット商標や、商品や機能を暗示するような商標は、一般名称化しやすいです。

このような商標に関しては、一般名称化を防止するために、®マークの表示を励行し、商標が登録されていることの主張を積極的におすすめします。

®マークを付けることに法的意味はあるのでしょうか?

日本では®マークの表示の法的義務や法的メリットはありません。Rマークは、アメリカの商標制度に基づく表示であり、日本の商標法に基づく表示ではありませんが、日本でも慣習的に使用されており、見かけることも多いです。本来、日本の商標法では、『登録商標第〇〇〇〇〇〇〇号』というのが正式な表記とされています(商標法施行規則第17条)。ただし商標法において、商標登録表示は『付するように努めなければならない』という努力義務の規定となっていて、付けなくても罰則はありません。

なぜ、企業は®マークを付けるのか?

日本では、商標登録表示について法的義務のないにも拘わらず、®マークにこれほどの関心を持たれ、実際に活用されているのでしょうか。理解の鍵は、米国の®マークの運用にあります。

米国での®マーク

海外では、®マークに法的な意味がある国も存在します。特に有名なものは米国の商標法です。

米国では、商標権を侵害されたとしても、商標権者が警告書を送付した以降の実施分しか、損害賠償が取れないとされています。しかし、商標権者が®マークを表示している場合には、侵害者が商標権の存在を認識していることになり、損害賠償請求が可能になる法的なメリットがあります。

そのため米国の商標実務では、®マークを付けることが非常に大切にされてきました。

ちなみに、模倣品業者の事例や特別な事情のある事例において、「当然、侵害者も商標登録があることを知っている」として、権利者が®マークを表示しなかった場合においても、警告書送付前の分も含めて損害賠償請求ができる判例が少数出ていますが、いつもそのような結論を得られるとは限りません。(参考:THE JOHNIMARSHALL REVIEW OF INTELLECTUAL PROPERTY LAW)

なお、日本では商標公報に掲載された時点で、商標登録は一般に知られているという考え方ですので、商標登録表示や警告がなくても、権利行使が可能です。そのため、商標登録表示が義務ではないのです。

®マークの表示方法

®マークを表示する場所について明確な決まりはありませんが、商標(ロゴ)の右上、あるいは、右下に小さく表示されることがほとんどです。

また、®マークは、製品本体、製品銘板、カタログ、パンフレット、取扱説明書、看板、ウェブサイトなど、商標を表示するあらゆる場所に付けられます。

すべての媒体について付けるべきか?

必ずしも、全ての媒体で使用する必要はありません。例えば、実際の商品「テレビ」を例にとると、製品本体正面のロゴには、®マークが付いていませんが、製品銘板や取扱説明書には®マークが付いていることが多く、このような表示方法でも、当該商品に®マークを使用していることになります。

®マークを使用する際の注意点(虚偽表示)

出願していない商標や出願中の商標、すなわちまだ登録されていない商標について、®マークを使用することは虚偽表示となる可能性があります。

商標法では、登録されていない商標を使用する場合において、商標登録表示やこれと紛らわしい表示を付ける行為が禁じられており、罰則もあります。

出願していない商標や、出願中で登録されていない商標については、上述したTMマークを使用したり、出願中の場合は、商標登録出願中と表示したりすることをお勧めしています。

また商標登録が消滅した場合に継続して®マークを使用していても、虚偽表示となる可能性があります。
特に、ハウスマークについては、虚偽表示にならないようにするためには、商標が登録されていることを、商標権者は、最新の商品・役務をリストアップして、定期的に補強出願確認することが必要です。

TMマークとは

®マークが商標登録されていることを示すのに対して、TMマークは「Trade Mark」の略であり、「これは商標です」ということを表示するために使われるマークです(商標出願中の場合に「これは商標出願中です」という意味で使用されることもあります)。

また、米国では、TMマークではなく「SMマーク」(SMは「Service Mark」の略)が使用されることもありますが、日本ではSMマークはほとんど使用されていません。

TMマークについてはこちらの記事も参考にしてください。→ TMマークとは何か

©マークとは

®マークによく似た形状のマークに、©マークがあります。

これは、商標登録ではなく、著作権があることを示すマークです。「著作権マーク」や「コピーライトマーク」と呼ばれます。具体的には、「© 著作権者名 公表年」というような表示がされています。書籍の奥付や、ウェブサイトのフッターに、©マークがついているのを見ることは多いと思います。

©マークの歴史

過去、著作権の保護に関しては2つの方式がありました。

一つは「著作物の成立とともに著作物は保護される」とする考え方(無方式主義:欧州など、ベルヌ条約加盟国)で、日本はこちらの考え方です。

もう一つは、「著作権の保護には、著作者による著作権登録や納本など、一定の方式を満たすことが必要である」という考え方(方式主義:米州など)です。

1952年に万国著作権保護条約が成立し、「© 著作権者名 最初の発行年」という明記を著作物の表紙や次のページ、また奥付に記載するという簡易な方式を満たせば、いろいろな方式があった各方式主義国での方式が満たされることになりました。

この反射的効果として、日本のような無方式主義国の著作物も、「© 著作権者名 最初の発行年」という簡易な方式を満たせば、多くの方式主義国で容易に著作権の保護が得られるようになりました。

(なお、現在では方式主義国だった米国もベルヌ条約に加盟し、「© 著作権者名 最初の発行年」という方式を使っていなくても、ほとんどの国で著作物の成立とともに権利として保護されるようになっています)

「© 著作権者名」があることで、誰に著作権者があるのかすぐに把握できることから、©マークは現在でも世界中で積極的に使われています。自らの権利の存在を表示することは、権利侵害を未然に防止し、自らを助けるものであるという理解です。

©マークの使用が徹底されていることは、®マークの運用にも示唆をあたえてくれます。現実の社会では、商標登録さえ取れば、それだけで商標の保護が十分できるというものではありません。®マークやTMマークをはじめとする、不断の商標管理こそ重要なのです。

まとめ

商標登録があることを示す®マーク、商標であることを示すTMマークなどについて、説明しました。

®マークやTMマークの使用は、商標管理の第一歩です。積極的に®マークやTMマークを使い、自らの商標の保護を更に強化するようにしていただければと思います。

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    執筆者
    弁理士 西野 吉徳
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