◇目次
1.模倣品の探し方
インターネット上で、自社の模倣品が販売されている否かを確認するためには、それぞれのサイトやアプリ上で、自社商品を実際に検索し、販売されている商品が真正品か否かを確認する必要があります。その際には、商品画像や販売価格、商品の説明文などから真正品か否かを確認します。また、商品を試しに購入してみて、検証する方法も有用です。
2.Yahoo! JAPAN知的財産保護プログラム
ヤフオク!、PayPayフリマ、Yahoo!ショッピングおよびPayPayモールで模倣品を発見した場合には、全て、Yahoo! JAPAN知的財産保護プログラムを通じて、Yahoo! JAPANに対して削除の依頼を行います。Yahoo! JAPAN知的財産保護プログラムは、権利者のみが利用できるものとなっており、手続に費用はかかりません。また、プログラムA・プログラムBという2つのプログラムがあります。以下、この2つについて詳しく説明します。
3.プログラムA
(画像)Yahoo!JAPAN知的財産権保護プログラムウェブサイトより
まず、プログラムAの対象者は、①知的財産権権利者(個人・法人を問わない)、②権利者団体に限られます。
申告をする場合、申告書と、権利が侵害されたことを証明する資料を郵送にて提出する必要があります。プログラムAの申告は、その都度、郵送で削除依頼の申告をする方法のため、事前の登録は不要となります。
申告書には、侵害を主張する権利内容(商標権侵害の場合には商標権と記載)や、権利侵害が行われているURL、権利侵害が認められる理由などを記載する必要があります。なお、あらゆる知的財産権が対象となり、権利による制限はありません。
権利が侵害されたことを証明する資料としては、専門家の意見書や鑑定書など権利侵害を証明する書面が必要となり、商標権に関する場合には登録証の写しなども必要となります。
申告から対応までにかかる時間としては、約1カ月程度と言われております。
このように、プログラムAを利用する場合、模倣品を発見し、その都度、申告書と権利侵害を証明する資料を提出する必要があり、手間がかかります。そこで、手間がかからない方法として、プログラムBというものがあります。
4.プログラムB
(画像)Yahoo!JAPAN知的財産権保護プログラムウェブサイトより
まず、プログラムBの対象者は、知的財産権権利者(個人を除く)に限られます。プログラムAとの違いは、プログラムAでは、個人の知的財産権権利者が対象者に入っていたのに対して、プログラムBでは対象に入っていないことです。
プログラムBを利用するためには、事前の登録が必要となります。申込書をYahoo! JAPANに郵送し、Yahoo! JAPANの審査を経て登録となります。登録が完了すると、専用のウェブフォームから出品の削除依頼が可能となります。なお、申込から登録までは約1~2カ月程度の時間がかかると言われています。
対象となる権利は、著作権・商標権・パブリシティ権・育成者権のうち、判例などにより法的評価がすでに確立している侵害形態となります。対象外となる場合の具体例としては、商標の機能を害することなく商標を使用している場合などが挙げられています。対象となる権利をこのように限定することにより、簡易かつ迅速に削除手続が可能となります。
つまり、出品内容等から商標権侵害であることが明確な場合、プログラムBを利用して削除依頼を行うことできますが、そうでない場合には、プログラムAを使用して申告をすることになります。
5.まとめ
以上、プログラムAとプログラムBを見てきましたが、例えば、商標権侵害物品の削除を求める場合には、ウェブフォームから削除申告が可能で、簡易迅速に削除ができるプログラムBの利用を優先的に考える必要があります。その上で、プログラムBを利用できない場合にプログラムAを利用するといった、両者の使い分けが必要となってきます。
6.参考(ヤフオク!ガイドライン細則)
ヤフオク!ガイドライン細則の、B出品禁止物には、商標権侵害物品等知的財産侵害物品が出品禁止物であることが明記されていますので、参考までに記載します。
第1編ヤフオク!ガイドライン細則
B.出品禁止物
35 著作権、商標権、パブリシティ件などを侵害する商品等
(1)偽ブランド、真贋(しんがん)が不明であることを示唆している商品等無断複製した音楽CDや映画、ゲームソフト、コンピューターソフト、書籍、海賊版、テレビを録画したもの、あるいはそれらを記録した電子機器など
(2)権利者から貸与されている実態があると当社が判断したCD、DVD、ゲームソフト、コンピューターソフト、書籍など
(3)アイドルなどのコラージュ画像(アイコラ)
(4)その他、当社が上記権利を侵害すると判断できるもの