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商標における「役務」とは?

Service

商標登録について調べていると、「役務」や「指定役務」という言葉を目にします。
あまりなじみのない言葉のため、具体的に何を指すのか、どのように商標登録と関係するのか知りたい方もいらっしゃると思います。
そこで、本記事では、商標における「役務」(えきむ)について、弁理士渡辺貴康が解説いたします。

 

1.役務とは?

一般に「役務」というのは、「他人のために行う、種々の労働作業。サービス。」(出典 精選版 日本国語大辞典)を意味します。

商標法上、「役務」が何かを定めた規定はありませんが、商標における「役務」は、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」(特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕』1488頁)をいうと考えられています。

「役務」の語は、日本の法令でよく用いられており(※例1)、また日本が締結する条約(日本語訳)では、「役務」を「サービス」と訳して用いられています(※例2)。

そのため、商標においても、「役務」=「サービス」と理解しても特に問題はありません。

※例1 外為法25条、独禁法2条など
※例2 国際分類に関するニース協定1条(1)、工業所有権の保護に関するパリ条約1条(2)、TRIPS協定15条(1)など

 

2.「役務の区分」と「指定役務」

商標登録をするには、特許庁の審査をパスする必要があります。
そして、審査を受けるには、特許庁に審査料(印紙代)を払い、商標登録出願の書類(電子データ)を特許庁に提出しなければなりません。

特許庁に提出する出願書類には、主に、①商標(マークや名称)、②商品または役務、を記載します。
特許庁に出願するときに、②の商標登録に必要な役務(サービス)の内容を、「第41類」と記載したものを「役務の区分」、「セミナーの企画・運営又は開催」と具体的に特定したものを「指定役務」といいます。

例)役務の区分  指定役務
第35類  「広告業」
第41類  「セミナーの企画・運営又は開催」
第43類  「飲食物の提供」

役務の区分「第○類」は、大まかなカテゴリ(タイトル)のようなものです。
重要なのは、「○○○○」と具体的に特定された「指定役務」の記載です。

区分(第○類)を記載しても、その区分全体で商標登録されるわけではありません。
また、指定役務は、専門用語で記載され、一般用語と意味が異なる場合もありますので、思い込みで決めないよう、ご注意ください。

このように、特許庁に出願するときは、①「商標」と、②「役務の区分」と「指定役務」の両方を適切に記載する必要があります。

区分は、ニース協定という国際条約をもとに、毎年のように改訂されています。
現在は、第1類から第45類(以前は第42類まで)までの45種類あります。
「役務」の区分は、第35類から第45類までの11種類に分類されています。

区分の大まかな内容は、「商標の区分とは ~45種類を全部解説します」をご参照ください。

 

3.商標登録で保護される「役務」

かつて、商標登録は、商品に使用されるマーク・名称を対象としていましたが、経済の発展や変化に伴い、ホテル、広告、金融、物流など形のないサービスの重要性が高まったため、平成4年(1996年)に法改正で、役務(サービス)に使用されるマーク・名称も商標登録の対象になりました。

商標で「役務(サービス)」が保護されるのは、サービスが独立して経済的価値を有するからと考えられています。
そして、商標登録で保護される「役務(サービス)」は、主に次の(1)と(2)の要件を満たしている必要があります。

(1)他人のためのサービスであるか

「役務」は、他人のために行うサービスである必要があります。

例えば、第42類に「ウェブサイトの作成又は保守」という役務がありますが、自社で何かのウェブサイトの制作をするのは、「他人のためのサービス」ではありません。
そのため、商標というツールを「ウェブサイトの作成又は保守」という役務に使用したことにならず、商標法でこの役務が保護されることにはなりません。

ウェブサイト上で、自社の化粧品の情報や商品画像を掲載し、消費者に向けて宣伝広告している場合、「商品の区分」は「第3類」と、「指定商品」は「化粧品」と記載します。
ウェブサイト上で、自社の飲食店を掲載し、お客様を飲食店に呼び込もうとしている場合、「役務の区分」は「第43類」と、「指定役務」は「飲食物の提供」と記載します。

このように、ウェブサイトといっても、ウェブサイトを利用して何をしているか(どういう意味を持つか)を、見極める必要があります。

(2)独立したサービスであるか

「役務」は、原則として、何かに付随して提供されるものではなく、独立して提供されるサービスである必要があります。

例えば、宿泊施設を提供するホテルで、コーヒーや焼菓子が提供されたとします。
ここでのコーヒーや焼き菓子は、あくまでホテルの役務に付随して提供されるもの(宿泊サービスの提供にあたり、その提供を受ける宿泊者が利用する物)であり、「独立したサービス」ではありません。
そのため、ホテルで、宿泊者に対し、コーヒー等が提供されるのは、第43類「飲食物の提供」ではなく、第43類「宿泊施設の提供」の役務に付随して使用されたものと考えます。
一方で、ホテル内のレストランで提供されている料理が宿泊者以外も利用できる場合には、ホテルの役務に付随して提供されるものではなく、ホテルの役務とは独立して提供されるサービスであるため、第43類「飲食物の提供」の役務の区分と指定役務が該当します。

(3)小売等役務について

先ほど、「役務」は、原則として独立して提供されるサービスであると申し上げましたが、例外があります。
それは、小売サービスの場合です。

平成19年(2007年)に法改正され、商標法上の「役務」に、「小売等役務」という概念が追加されました。

小売等役務」とは、「小売又は卸売の業務において行われる総合的なサービス活動(商品の品揃え、陳列、接客サービス等といった最終的に商品の販売により収益をあげるもの)」(特許庁編「商標審査基準〔改訂第15版〕」132頁)をいうと考えられています。
これまで保護されていなかった小売サービスに付随する行為を「役務」に含める形で保護するようになりました。

具体的には、商標登録に対し、第35類「○○の小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」という記載の指定役務が認められるようになりました。

ただし、この「小売等役務」は、「小売サービス」自体を直接保護するものではありません
「小売サービス」自体ではなく、「小売サービスに付随する行為」を特別に「役務」と認めて、保護するものであることにご注意ください。

「小売」というのは、商品の販売(譲渡)を意味し、商品の譲渡は、第1類から第34類までの「商品の区分」と「指定商品」を記載して保護されます。

特許庁(平成19年度小売等役務商標制度説明会テキスト)では、「小売等役務についての使用であることをもって,商品についての使用であることが否定されるわけではありません。小売等役務についての使用に該当すると同時に,そこで取り扱われる商品の出所を表示するための商品についての使用といえる場合もあります」と説明され、小売サービスが商品と役務の両方に該当する場合を想定しています。

このように、小売の商標については、商品になるのか、役務になるのか、明確に境界を定めることは困難といえます。

そのため、小売サービスに使用する商標を登録したい小売業者等は、「役務の区分」の「指定役務(小売等役務)」だけでなく、小売で取り扱う「商品の区分」の「指定商品」の両方をカバーできるように商標登録をしておくとよい場合が多いです。

 

4.まとめ

今回は、商標における役務について、弁理士渡辺貴康が解説いたしました。
以下が本記事のポイントです。

  • 「役務」=「サービス」と考えてよい。
  • 商標登録は、役務の区分と指定役務を適切に見極めることが重要。
  • 商標登録で保護される「役務」は、(1)他人のために提供されるサービス、(2)独立して提供されるサービスであることが必要。
  • 例外の「小売等役務」は、小売サービス自体を直接保護するものではなく、小売サービスに付随する行為を保護するもの。
  • 小売業者は、第35類の小売等役務の区分(指定役務)だけでなく、取扱商品に対応する第1類から第34類の商品の区分(指定商品)も登録しておくとよい場合が多い。

 

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