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位置商標の登録について


2017年4月より、新しいタイプの商標として「位置商標」が登録できるようになりました。

現時点までの登録件数は116件(2021年10月8日現在)となっていますが、まだ馴染みがないという方も多いかと思われます。

この記事では「位置商標」についてご紹介していきたいと思います。

1.位置商標とは

位置商標は、「文字や図形等の商標であって、商品等に付す位置が特定される商標」と、特許庁より説明されています。

通常、識別力がない文字や図形については、商標登録を受けることができません。しかし、識別力がない文字や図形であっても、常に商品の同じ場所に付されていることで、消費者が特定企業の商品であると認識できるようになる、すなわち識別力を獲得することがあります。このような場合をふまえ、位置商標の登録制度が設けられました。

2.位置商標の事例

位置商標の登録例をご紹介します。

・日清食品のカップヌードル容器のデザイン(商標登録6034112号)

ここで位置商標として登録されているのは、実線で示された部分、すなわち、容器の上下に施された、金色の帯状の図形(通称:キャタピラ)です。

 

・プーマの靴側面のデザイン(商標登録6183484号)

ここで位置商標として登録されているのは、実線で示された部分、すなわち、靴の側面に付された、靴底から立ち上がり後方に向かって伸びるような形状の図形です。

 

このように位置商標では、商標登録を受けようとする商標が実線で示されます。破線部分は、図形の位置を特定するために記載されたものであり、あくまで商品の形状の一例を示したものであるため、商標を構成する要素ではありません。

3.位置商標の登録に必要な要件

では、識別力のない図形等であっても、その位置を特定すれば、識別力が獲得できて、登録が認められるのでしょうか?

いいえ。識別力のない図形等については、単に位置を特定しただけでは、識別力を獲得することはできません。そのため、商標出願したとしても、特許庁から拒絶理由が通知されます。

登録を受けるためには、商標として使用を続けた結果、識別力を獲得していることが必要です。そして、識別力を獲得していることの証明、つまり、その商標を見て、消費者が特定企業の商品だと認識可能であるという証明を、特許庁に提出して認められる必要があります。

上述したカップヌードルの位置商標も、当初は、特許庁から、識別力がないという拒絶理由通知を受けています。これに対して、市場シェアや、雑誌、ツイッター、ブログ、消費者に対するアンケート調査の結果など、種々の証明資料を提出した結果、登録が認められています。

この他、位置商標であっても、通常の商標と同様の登録要件が課されます。例えば、先行商標と同一・類似であったり、公の秩序・善良の風俗を害するおそれがあったりする場合には、登録することはできません。

4.位置商標登録のメリットとデメリット

位置商標のメリットは、商品の特徴的なデザインのみを真似るような模倣品に対して、抑止力が高まる点です。

例えば、上述したプーマの靴のデザインの位置商標について考えてみます。

商標法には立体商標の登録制度もありますが、立体商標の場合は、例えば靴の形状全体を含んで登録を受けることになります。そのため、他者により、靴の形状を変えて特徴的なデザイン部分のみを真似されると、商標権を主張しても靴の形状が異なると反論されてしまう可能性があります。

これに対して、上記位置商標では、靴の形状は破線で記載されており、あくまで一例を示したものであるため、破線部分の形状には限定されません。このため、位置商標として登録されている、特徴的なデザインの部分について、権利の主張を行いやすいと考えられます。

一方、位置商標のデメリットは、図形等に識別力がない場合は、識別力を獲得したことを証明しなければならないため、証明資料の準備や特許庁での審査にも時間がかかる点です。上述したカップヌードルの位置商標も、出願から登録まで約2年半かかっています。

また、労力や時間をかけたとしても、審査の結果、残念ながら登録が認められない場合もあります。

下記は、エバラ食品工業の焼肉のたれのボトルにおける位置商標です。(商願2015-047397)

この位置商標は、2015年に出願され、2020年に知財高裁まで行きましたが、識別力を獲得したと認められず、結局、登録を受けることができませんでした。

5.位置商標の出願について

位置商標であっても、出願時の特許印紙代、登録時の特許印紙代、存続期間などは、通常の商標と変わりません。しかしながら、位置商標の出願書類は、通常の商標とは異なる点がありますので、注意が必要です。

例えば、商標記載欄には、上述した登録例にあるように、商標登録を受けようとする標章(図形等)を実線で描き、その他の部分を破線で描くことで、標章の位置が特定されるように記載します。

商標記載欄の内容から標章の位置が特定できないと判断された場合、拒絶理由が通知されます。しかしながら、商標記載欄は出願後に補正することができないため、商標出願を出し直さなければならないといった事態もあり得ますので、気を付けてください。

また、指定商品の記載にも注意が必要です。例えば、上述した日清食品のカップヌードルの位置商標では、指定商品が「カップ入りの具およびスープ付きの即席麺」と記載されています。仮に「即席麺」とだけ記載した場合は、どうでしょうか? この場合、カップ入りではなく、例えば袋入りの即席麺も含まれてしまいます。つまり、カップにおいて位置が特定された商標であるのに対し、標章の位置が特定できない商品が含まれることとなります。このような場合には、特許庁から指定商品を補正するよう通知がなされます。

位置商標を出願する場合には、特許庁のウェブサイトの「新しいタイプの商標の保護制度」の説明(https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/newtype/index.html)のほか、似たような商品における位置商標の登録事例を確認するとよいと思われます。

位置商標の登録事例は、特許情報プラットフォームJ-PlatPat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/t0100)において、検索オプションで、商標のタイプ「位置商標」をチェックして検索すると確認できますので、参照してみてください。

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    執筆者
    cotobox編集部
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