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商標登録の異議申し立て制度とは?

1.商標登録が取消されるケースについて

 商標権は、その設定登録の日から10年間存続するのが通常です。また、その存続期間は、商標権者の更新登録の申請により何度でも更新することができることとされており、商標権者が更新をし続ける限り、その効力が失効することは基本的にはありません。

 ただし、一定の場合には、商標登録が取消される事があるのをご存じでしょうか?

 ここでは、どういった場合に商標登録が取消されてしまうのかについて、ご説明差し上げます。

2.商標に係る登録異議の申立てについて

 商標登録がされましたが、その商標登録について異議が有る(その商標登録はされるべきでは無いと考える)場合には、特許庁に対し、その登録商標が商標登録の要件を満たしていないことを理由とした「登録意義の申立て」をすることができます。

(1)登録異議申立ての理由

 具体的には、主として以下のような場合に、登録異議の申立てができます。

 ①自己と他人の商品・役務を区別することができないもの

  ・商品又は役務の普通名称のみを表示する商標

    例) 指定商品「アルミニウム」に使用する商標として「アルミニウム」または「アルミ」を出願した場合 

  ・商品・役務について慣用されている商標

    例) 指定商品「清酒」に使用する商標として「正宗」を出願した場合

  ・単に商品の産地、販売地、品質等又は役務の提供の場所、質等のみを表示する商標

    例) 指定商品「菓子」に使用する商標として「東京」を出願した場合

       指定商品「シャツ」に使用する商標として「特別仕立」を出願した場合

       指定役務「飲食物の提供」に使用する商標として「東京銀座」を出願した場合

       指定役務「医業」に使用する商標として「外科」を出願した場合

  ・ありふれた氏又は名称のみを表示する商標

    例) 山田、スズキ、WATANABE、田中屋、佐藤商店

  ・極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標

    例) 仮名文字の1字、数字、ありふれた輪郭(○、△、□等)、ローマ字(AからZ)の1字又は2字

  ・その他何人かの業務に係る商品又は役務であるかを認識することができない商標


②公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反するもの

  ・国旗、菊花紋章、勲章又は外国の国旗と同一又は類似の商標

  ・外国、国際機関の紋章、標章等であって経済産業大臣が指定するもの、白地赤十字の標章又は赤十字の名称と同一又は類似の商標等

  ・国、地方公共団体等を表示する著名な標章と同一又は類似の商標

  ・公の秩序、善良な風俗を害するおそれがある商標

    例) 「大学」等の文字を含み学校教育法に基づく大学等の名称と誤認を生ずるおそ

れがある場合

       「○○士」などの文字を含み国家資格と誤認を生ずるおそれがある場合

  ・商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれのある商標

    例) 指定商品「ビール」に使用する商標として「○○ウイスキー」を出願した場合

  ・博覧会の賞と同一又は類似の商標、商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標

 ③他人の登録商標又は周知・著名商標等と紛らわしいもの

  ・他人の氏名、名称又は著名な芸名、略称等を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)

    例) 国家元首の写真やイラスト、著名な芸能人、スポーツ選手等

  ・他人の周知商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品・役務に使用するもの

    例) 電気機械器具類の分野で、「SONY」など

  ・他人の登録商標と同一又は類似の商標であって、指定商品・役務と同一又は類似のもの

  ・他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標

     例) 「おもちゃ」を指定した出願「パー・ソニー」と、「電気機械器具」において著名な商標「ソニー」

  ・他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもって使用する商標

     例) 外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていない事情を利用して、商標を買い取らせるために先取り的な出願をする場合

        外国の権利者の国内参入を阻止したり国内代理店契約を強制したりする目的で出願する場合

        日本国内で全国的に著名な商標と同一又は類似の商標について、出所の混同のおそれまではないが、出所表示機能を希釈化させたり、その信用や名声等を毀損させる目的で出願する場合

   ・他人の登録防護標章と同一の商標、種苗法で登録された品種の名称と同一又は類似の商標、真正な産地を表示しないぶどう酒又は蒸留酒の産地の表示を含む商標


(2)登録意義申立てができる期間など

  登録商標が上記(1)の事由に該当すると考える場合には、「誰でも」、その登録商標について、登録異議の申立てをすることができます。

  ただし、登録異議の申立ては、商標掲載公報の発行の日から「2か月以内」にする必要があります。

  これは、登録異議の申立て制度は、商標権の設定登録後の一定期間に限り、広く第三者に商標登録の取り消しを求める機会を与える制度であり、特許庁が自ら登録処分の適否を審理し、瑕疵ある場合にはその是正を図ることを目的とするものであるからです。

  すなわち、商標が登録されたことが公開された日から、2か月以内に異議申立てをする必要があることとなります。


(3)登録異議申し立ての手続・審理

  商標の登録異議申立てをしたい場合には、「商標登録異議申立書」という書面を特許庁へ提出する必要があります。

  同書面には、商標登録を取り消すべき理由を、法律上の根拠、証拠の提示とともに具体的(申立て理由の要約に記載した理由を詳細に)に記述することが必要とされております。

  「商標登録異議申立書」が受理された後は、特許庁において商標登録を取消すべきかどうかについて合議体により審理が行われ、決定がされることとなります。

  なお、特許庁による標準的な審査期間は、6か月~8か月とされています。

  異議申し立てに係る費用についてですが、特許庁へ納付する特許印紙代(1区分の場合11,000円)のほか、申立書面作成に係る手数料がかかるのが通常であり、代理人に依頼する場合には20万円~の費用がかかるのが一般的です(別途、成功報酬が発生する場合もあります)。

  また、審理の結果、商標登録を維持する(取消さない)との判断がされた場合には、その決定に対して不服の申立てはできないこととされています。

  ただし、以下3.において説明する商標登録無効審判を請求することは可能となっていますので、維持決定に対して不服が有る場合には、別途、無効審判を請求することとなります。

  なお、商標登録の異議申立てによって商標権の取消決定がされた場合には、その商標権は初めから存在しなかったものとみなされます。すなわち、遡って存在しなかったものとして取り扱われます。

  商標登録異議申立ての審理フローについては、以下をご参照ください。

(https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/shubetu-shohyo-igi/att00003.htmlより)

3.異議申し立て期間を過ぎた場合について(商標登録無効審判について)

 上記、商標の登録異議申立ては商標掲載公報の発行から2か月以内にする必要がありますが、当該期間を過ぎた後は、どうしたらよいのでしょうか?

 この場合、「商標登録無効審判」という制度があり、本審判を請求することにより、登録商標を無効にすることを求めることができます。

 商標登録すべきで無かった商標について無効とすることを求めるものであり、その要件は基本的には商標の登録異議申立てと同じですが、以下の異なる点がありますので、注意が必要です。


(1)請求人について

   商標登録無効審判については、その請求は「利害関係人に限り」請求できる事とされていいます。

   商標の登録異議申立てが「何人も」申立てできることとされている点とは異なりますので、注意が必要です。

   すなわち、その商標登録が無効とされても何ら利益等を受ける関係に無い場合には、請求が認められないこととなります。


(2)請求できる期間について

   商標登録無効審判については、商標の登録異議申立てとは異なり、いつまでに請求しなければならないといった期間の制限はありません。

   対象となる商標権の消滅後でも、請求することができます。

   ただし、一部の無効理由については「除斥期間」といって、登録の日から5年を過ぎた後は請求できないこととされていますので、注意が必要となります。


(3)費用について

   商標登録無効審判に係る費用ですが、特許庁へ納付する特許印紙代が55,000円(1区分の場合)となっており、異議申立てと比べて高額となります。

   また、代理人に依頼する場合には、申立書面作成に係る手数料等で20万円~の費用がかかるのが一般的です(別途、成功報酬が発生する場合もあります)。

4.商標登録出願に関する情報提供について

 上記2.及び3.の異議申立てや無効審判は、商標登録がされた後に、その有効性を争うものですが、商標登録出願後、商標登録がされる前にはどういった手段があるでしょうか?

 この点、特許庁では、商標登録出願に関する情報提供を受け付けており、

  ・商標登録出願に係る商標が商標の登録要件を満たしていない

  ・商標の不登録事由に該当する

と考える場合には、特許庁へその旨の情報を提供をすることができます。

 具体的には、

  ・刊行物又はその写し

  ・商標登録出願の願書の写し

  ・商標の使用に係るカタログ、パンフレット、取引書類等の証明書類等

などの証拠となる書類を提出した上で、その商標登録出願が登録要件を満たしていない旨を情報提供することができます。

 提出された書面が審査における参考情報として採用されるかどうかは、審査官によります。

 情報提供については、特許庁へ納付する特許印紙代は必要ありませんが、代理人に依頼する場合には、証拠書類の整理や提出書面の作成等のため10万円~の手数料がかかるのが一般的です。

 

 以上、商標登録の要件を満たしてない他者の登録商標を無効にしたり、登録前の商標登録出願が登録されないようにするための方法について説明させていただきました。

 特許庁への情報提供や商標の登録異議申立てについては、特許庁の審査の適正を図るという公益的な目的に適うものでもありますので、必要に応じ、ご活用をご検討ください。

 

 

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    執筆者
    cotobox編集部
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