◇目次
1.国内EC市場を取り巻く状況
メルカリの話をする前に、その前提として、日本国内のEC市場の状況について簡単に説明します。国内の電子商取引の市場規模は年々拡大しており、2020年7月に発表された経済産業省「電子商取引に関する市場調査」によれば、令和元年の日本国内のBtoCのEC市場規模は、以下の表のとおり、19兆3609億円となっています。2010年の市場規模が7兆7880万円だったことに鑑みると、この10年間でかなり成長していることがわかります。
BtoC-ECの市場規模および物販化EC化率の経年推移(億円)
(画像)経済産業省「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」より
また、同調査報告書によれば、2019年のCtoC-ECの推定市場規模は、1兆7,407億円となっており、前年比9.5%増となっていることから、CtoC-ECの市場規模も急拡大していることが分かります。また、同報告書では、市場規模の拡大にあたり、利用者層の変化があり、幅広い層に利用されているということが指摘されています。
CtoC-EC市場規模
(画像)経済産業省」令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」より
2.模倣品の探し方
フリマサイトの市場規模が拡大し、多くの商品がフリマサイトで販売されていることに伴い、残念ながら、フリマサイトでも模倣品が販売されているという実態があります。インターネット上の模倣品対策は、BtoCのサイトもCtoCのサイトも共通しており、模倣品を発見し、プラットフォーマーに対して削除手続きを行うことが基本となります。そして、フリマサイト上で、自社商品の模倣品が販売されている否かを確認するためには、それぞれのサイトで、自社商品を実際に検索し、販売されている商品が真正品か否かを確認する必要があります。その際には、商品画像や販売価格、商品の説明文などから真正品か否かを確認します。また、商品を試しに購入してみて、検証する方法も有用です。
3.権利者保護プログラム
知的財産侵害物品を発見した場合、次に、その物品の削除をする必要があります。メルカリでは、「権利者保護プログラム」を提供しているため、このプログラムに参加をして、削除申立てを行うことが有用です。プログラムに参加することにより、加入者専用の申立フォームで侵害の申立てが可能になります。
権利者保護プログラムの概要は以下のとおりです。
対象者:知的財産権を有する権利者(個人を除く)・権利者団体・信頼性確認団体
対象権利:商標権・意匠権・特許権・著作権・パブリシティ権・育成者権
プログラムの加入方法や、プログラム加入後の削除申立方法は、「権利者保護プログラム」のウェブサイトをご覧ください。
4.禁止されている出品物ガイドの改定
メルカリガイドでは、商標権や著作権などの知的財産権を侵害する商品の販売が禁止されており、権利者の許諾を得ずに、使用や利用することにより権利侵害となる可能性があることが明記されています。また、違反を確認した場合の取扱いについて取引キャンセル・商品削除・利用制限となる場合がありますと明記されています。
2020年9月1日、知的財産を侵害するものの具体例として、以下の3点が追加されています。
・商品や商品説明に、権利侵害の恐れがあるブランド名やキャラクター名などを記載すること(××風、××系、××タイプなど)
・第三者が権利を有しているブランド品のロゴ・デザインと酷似している商品
・事務局が特定のブランドを想起すると判断した商品
ここで注目すべき点は、「××風、××系、××タイプなど」の記載が商品や商品説明に記載されていることが、出品禁止物の例として挙げられていることです。このような記載は、明確に商標権侵害とは言い切れない場合もあります。しかしながら、このように出品物ガイドに明記されていることにより、このような場合も知的財産権を侵害するものと考えられ、削除対象となります。これは、権利者の立場から考えと、大きな意味があります。
5.まとめ
まずは、メルカリで自社の模倣品が販売されているかを確認し、販売の事実がある場合には、権利者保護プログラムに加入し、早急に対策を取ることをお勧めします。また、一つのサイトで模倣品が販売されている場合、他のサイトでも販売されている可能性が高いです。そのため、メルカリだけでなく、他のサイトでの販売状況を確認することをお勧めします。