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ホログラム商標について

商標とは、文字や図形等がホログラフィーその他の方法によって変化する商標です。

身近な例としては、クレジットカードや家電製品など、特に模倣品を防止する必要のある商品に付されるケースが多いです。

ホログラム商標は、見る角度によって変化して見える文字や図形等が対象となります。

平成26年の法改正によって、ホログラム商標のほか、動く商標・色彩のみからなる商標・音商標・位置商標といった新しいタイプの商標登録が認められるようになりました。

ホログラム商標について登録商標を受けることのメリットは、以下のとおりです。

  • 通常の商標登録と同じく、商標権の侵害行為に対する差止めや損害賠償の請求といった権利行使が可能となる
  • マドリッド協定(※1)の議定書に基づいた「新しい商標」の複数国への一括出願が可能となる

※1・・・マドリッド協定とは
商標の国際登録について定められた国際条約のこと。この条約に加盟している国へは、日本の特許庁を通じて商標登録を出願することができる。一度の手続きで複数の国に申請できるのが大きな特徴。現在のマドリッド協定の加盟国は118カ国。

ホログラム商標の登録事例

ホログラム商標については、文字や図形が「ホログラフィーその他の方法により変化するもの」と定義されていることから、必ずしもホログラフィーである必要はありません。

他の方法であっても、変化するもので「動き商標」ではないものの場合は「ホログラム商標」に含まれます。

なお、「動き商標」は時間の経過に伴って変化するものが対象である点が、ホログラム商標とは異なります。

では、実際にホログラム商標として登録されている事例をいくつか見てみましょう。

(1)クレジットカードのホログラム

登録番号:登録5908592
商標権者:株式会社ジェーシービー
指定役務:クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算 ほか

(2)おもちゃ等に張り付けるロゴ(図形)

登録番号:登録6126865
商標権者:株式会社オビツ製作所
指定商品:おもちゃ ほか

(3)生命保険等に係るサービスを指定するロゴ(図形)

登録番号:登録6029908
商標権者:ほけんの窓口グループ株式会社
指定役務:生命保険契約の締結の代理及び媒介 ほか

ホログラム商標として代表的なクレジットカードのホログラム以外にも、その商標が見る角度によって表示される内容が変わるような図(ロゴ)であれば、ホログラムの商標として商標法による保護を受けることが可能です。

出願に際しての注意点

ホログラム商標の出願にあたって注意すべき点を解説します。

< 願書の記載方法 >

ホログラム商標を出願する場合には、ホログラフィーその他の方法による変化の前後の状態が特定されるように表示した図または写真を添付 する必要があります。

さらに、ホログラム商標であることを願書に表示すること、また「商標の詳細な説明(※2)」の欄を設け、当該商標がホログラムの商標であることを明確にする必要もあります。

※2・・・「商標の詳細な説明」記載例:
商標登録を受けようとする商標(以下「商標」という。)は、見る角度により別の表示面が見えるホログラム商標である。左側から見た場合には、図1に示すとおり、正面から見た場合には、図2に示すとおり、右側から見た場合には、図3に示すとおりである。なお、商標の右下隅に表示されている番号は、図の順番を表したものであり、商標を構成する要素ではない。

また、ホログラム商標の登録を受けようとする商標については、複数の表示面を1枚の図によって表した以下のようなものは認められません。(出典:「商標審査基準」〔改訂第15版〕

・ 認められない例

・ 認められる例

< ホログラム商標の類否判断 >

特許庁による審査では、出願をした日よりも以前に出願された他者の登録商標またはこれに類似する商標については、登録を受けられないこととされています。

他者の登録商標との類否判断(似ているかどうかの判断)は、主に商標から生じる外観(見た目)、称呼(読み方)、観念(意味合い)をもとに判断されることとなりますが、ホログラム等による「視覚効果(立体的に描写される効果、光の反射により輝いて見える効果、見る角度により別の表示面が見える効果等)により変化する状態を総合して、商標全体として考察」することとされています。

具体例として、以下が挙げられます。(出典:「商標審査基準」〔改訂第15版〕

・原則として「類似しない」と判断される例

単語及び熟語等が複数の表示面に分割されて表される等、もともとは一つの単語や熟語等であることが明らかな場合には、当該単語及び熟語等の一部からなる文字商標等、一つの表示面の標章と同一又は類似の標章からなる文字商標等とは、原則として、類似しないものとする。(引用:特許庁

上記の例では、ホログラム商標で表されているのが一連の「MOUNTAIN」(山の意味)という単語であることが分かることから、その変化の一部分のみを表す文字商標「MOUN」と「TAIN」は互いに類似しないと判断されます。

・原則として「類似する」と判断される例

特段の意味を有しない造語等の標章が複数の表示面にそれぞれ表され、各表示面の標章の商標全体に占める割合が低くない等、複数表示面の標章を分離して観察することが取引上不自然でない場合には、各表示面に表示された標章と同一又は類似の標章からなる文字商標や図形商標等とは、原則として、類似するものとする。(引用:特許庁

上記の例では、ホログラム商標で表される「HBG」と「カタニ」の文字には特段の関連が認められないことから、変化の一部分のみを表す文字商標「HBG」「カタニ」とはそれぞれ類似する、と判断されます。

ホログラム商標の識別力の判断について

特許庁では、その商標が指定商品・指定役務との関連で一般的に使用されている場合や、商品の品質や役務(サービス)の質を表すに過ぎない場合には、「識別力がない」として商標登録を認めない場合があります。

ホログラム商標についても同様に、識別力の有無の判断が行われます。識別力の判断方法は、基本的にはホログラフィーによる様々な効果を総合して判断することとされています。

しかし「視覚効果のうち、見る角度により別の表示面が見える効果が施されている場合には、それぞれの表示面に表された文字や図形等の標章が、本項各号に該当するか否かを判断する」という記載もあり、いくつかの変化する文字や図形から構成されるホログラム商標については、それぞれの文字や図形について識別力の有無が判断されることになります。

以下の「SECURE」という文字の連続する図案からなるホログラム商標は、識別力がないとして登録が認められていません。

出願番号:商願2015-103006
商標権者:凸版印刷株式会社
指定商品:文房具類 ほか

また、以下の商標についても、あくまで宣伝文句に過ぎないといった理由から登録が認められませんでした。

なお、先に登録例として紹介した「登録番号:登録6029908」とは、2番目の図形の「口」の文字が図案化されているかどうかの違いがあります。

出願番号:商願2015-60823
商標権者:ほけんの窓口グループ株式会社
指定商品:生命保険契約の締結の代理及び媒介 ほか

まとめ

平成26年の法改正により導入された「新しい商標」のひとつであるホログラム商標について解説しました。

特許庁のウェブサイトである特許情報プラットフォームJ-PlatPatによると、2022年10月14日時点でホログラム商標に係る案件の検出数はわずか21件となっており、日本においてはホログラム商標の出願がまだ十分に浸透していないと言えるでしょう。

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    執筆者
    cotobox編集部
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