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色彩のみからなる商標について

1.色彩のみからなる商標とは

単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標です。

従来は、色彩のみから構成される商標は登録がみとめられませんでしたが、制度の見直しにより、平成27年度から、色彩のみからなる商標についても登録がみとめられるようになりました。

例としましては、商品の包装紙や広告用の看板に使用される色彩等の登録があります。

 

2.色彩のみからなる商標が登録されることとなった経緯

近年のデジタル技術の急速な進歩や商品又は役務の販売戦略の多様化に伴い、企業は自らの商品又は役務のブランド化に際し、文字や図形のみならず、色彩のみや音についても商標として用いるようになってきている現状がありました。

また、既に諸外国では、色彩のみや音といった「新しい商標」を保護対象としている国も多く、実際に、こうした諸外国において我が国企業が出願や権利取得を進めるケースも増加しており、我が国における保護ニーズも高まっている状況もありました。

この点、色彩のみからなる商標を始めとする「新しい商標」を保護対象とすることにより、以下のようなメリット※があることから、平成26年に商標法が改正され、「新しい商標」が保護対象として追加されました。

 

※「新しい商標」を保護対象とするメリット

    • 商標権の侵害行為に対する差止めや損害賠償の請求といった権利行使が可能となる
    • マドリッド協定の議定書に基づいた「新しい商標」の複数国への一括出願が可能となる

 

なお、いわゆる「新しい商標」とは、以下の5つの商標を言います。

  • 動き商標
  • ホログラム商標
  • 色彩のみからなる商標
  • 音商標
  • 位置商標

 

3.色彩のみからなる商標権の範囲(登録できる色彩とは)

では、色彩のみからなる商標はどういった範囲で保護・登録されるのでしょうか?
いくつかの観点から見ていきましょう。

(1)識別力について

特許庁が編纂する「商標審査基準」(第18版)では、色彩のみからなる商標について、以下のようなものは登録ができないこととされております。

  • 商品の性質上、自然発生的な色彩
    (例)商品「木炭」について「黒色」
  • 商品の機能を確保するために通常使用される又は不可欠な色彩
    (例)商品「自動車用タイヤ」について、「黒色」
  • その市場において商品の魅力の向上に通常使用される色彩
    (例)商品「携帯電話機」について「シルバー」
  • その市場において商品に通常使用されてはいないが、使用され得る色彩
    (例)商品「冷蔵庫」について、「黄色」
  • 色模様や背景色として使用され得る色彩
    (例)商品「コップ」について、「縦のストライプからなる黄色、緑色、赤色」

すなわち、色彩であればどういったものでも登録できるわけではなく、上記のような、指定商品・指定役務との関連で使用が必要不可欠なものや、一般に使用され得ると考えられるようなものについては、商標登録は認められません。

 

(2)他の商標との類否判断について

色彩のみからなる商標の類否の判断(ある商標が、他の商標と類似かどうか)は、以下により行われることとされております。

  1. ①当該色彩が有する色相(色合い)、彩度(色の鮮やかさ)、明度(色の明るさ)を総合して、商標全体として考察する
  2. ②色彩を組み合わせてなる商標については、これに加え、色彩の組み合わせにより構成される全体の外観を総合して、商標全体として考察する
  3. ③色彩を組み合わせてなる商標を構成する一色と、その一色と同色の色彩のみからなる商標とは、原則として、類似しないものとする。
  4. ④「単色の商標」と「文字と色彩の結合商標」とは、原則として、類似しないものとする。
  5. ⑤文字商標との類否判断においては、称呼及び観念において同一又は類似であるとしても、色彩のみからなる商標は、主として色彩の外観が重要な判断要素となることから、原則として、類似しないものとする。
  6. ⑥「図形と色彩の結合商標」を本願とした場合の「色彩を組み合わせてなる登録商標」との類否については、色彩の配置や割合等が同一又は類似であれば、原則として、類似するものとする。

 

なお、②のとおり、色彩を組み合わせてなる商標については、色相(色合い)、彩度(色の鮮やかさ)、明度(色の明るさ)に加え、色彩の組み合わせにより構成される全体の外観を総合して、商標全体として考察することとされております。

この点、使用される色合いが同一であったとしても、その色の配置や構成割合が異なるなどで全体の外観が異なる場合には、非類似と判断されることも有り得ることとなります。

 

4.色彩のみからなる商標の登録例

ここでは、実際にどういった商標が登録できるのかの参考としまして、実際に登録されている例をいくつかご紹介いたします。

 

(1)株式会社ファミリーマート

コンビニエンスストア事業を運営するファミリーマートの登録商標(登録第6085064号)です。
店舗の外装として用いられている3色の色彩からなる商標が登録されています。

 

(2)日清食品ホールディングス株式会社

食品等を製造・販売する日清食品社の登録商標(登録第6534071号)です。
同社の製造・販売する「チキンラーメン」のパッケージに使用されている色彩が登録されています。

 

(3)株式会社トンボ鉛筆

文房具等を製造・販売するトンボ鉛筆社の登録商標(登録第5930334号)です。
同社の製造・販売する消しゴムの紙製カバー(スリーブ)に使用されている色彩が登録されています。

 

5.まとめ

ここまでで、色彩の商標がどういったものか、また、色彩のみからなる商標であっても、どういった商標について登録ができて、どういった商標について登録ができないかを一通りご説明いたしました。

特に、「携帯電話」に「シルバー」、「冷蔵庫」について「黄色」といった、その商品に通常使用される色や使用され得る色については登録が認められないとされております。そのため、色彩のみからなる商標の出願をお考えの場合には、ご注意をいただけますと幸いです。

 

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    執筆者
    cotobox編集部
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