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アルファベットの商標登録における条件とは

日本の商標登録制度では、漢字・ひらがな・カタカナといった日本の文字だけではなく、アルファベットの商品名やサービス名についても商標登録を受けることができます。

しかし、どんなアルファベットの名前でも商標登録できる、というわけではなく、定められた商標登録要件を満たす必要があります。

商標登録要件については様々な要件がありますが、この記事では、特にアルファベットに関連する要件について、ご紹介します。

1.アルファベット1文字または2文字のみの文字商標は、原則、商標登録できない

アルファベット1文字または2文字のみからなる文字商標については、原則、商標登録できません。

アルファベット1文字や2文字は、商品の型番や品番、等級など、商品や役務を仕分けるための記号や符号として一般的に使用されているため、識別力がないと判断されるためです。

また、アルファベット2文字を「-」で連結したもの(例えば「A-B」など)や、アルファベット1文字・2文字に数字を組み合わせたもの(例えば「A2」、「2A」、「A2B」など)のみの文字商標についても、同様の理由で、原則、商標登録できません。

なお、アルファベット2文字を「&」で連結したもの(例えば「A&B」など)については、「極めて簡単で、かつ、ありふれた商標」に該当しない、とされているので、他の要件を満たせば登録可能であると考えられます。

2.文字商標として登録できるアルファベットの文字数は3文字以上

上記の通り、アルファベット1文字または2文字のみの文字商標は、原則、商標登録が認められないため、文字商標で登録を受けたい場合は、アルファベット3文字以上とする必要があります。またアルファベット3文字以上であっても、上述したような、他の商標登録要件を満たす必要があります。

<例外的に、アルファベット1文字または2文字のみでも商標登録できる場合>

①ロゴ商標とする

アルファベット1文字または2文字のみであっても、ロゴ化することで、「極めて簡単で、かつ、ありふれた商標」に該当しなくなれば、商標登録を受けることができます。

なお、一般的によく使用されるような書体では「ありふれている」と判断されてしまいますので、特徴的なデザインの書体とする必要があります。

例えば 鉄道会社のロゴマークである「JR」などが挙げられます。

(特許庁 商標登録第3032279号)

 

②全国的に有名な商標となる

その商標を見れば消費者が特定企業の商品・サービスであると認識できるほど、全国的に有名になれば、商標登録を受けることができます。ただし、全国的に有名であるという証拠を特許庁に提出して認められる必要があるため、登録のハードルは非常に高いものとはなっています。

例えば、携帯電話会社の商標である「au」などが挙げられます。

(特許庁 商標登録第4836315号)

3.アルファベットとカタカナはどちらを登録するべきか

アルファベットとカタカナ、どちらを出願するか悩んだ場合は、よく使用される方の表記を出願することをお勧めしています。称呼(読み方)が同じであれば、商標が類似であると判断されるケースが多いためです。

例えば、「Cotobox」の場合、コトボックスと読むことができるため、「コトボックス」や「ことぼっくす」についても、類似の範囲として権利範囲に含まれます。

ただし、アルファベットから読み方が複数想定される場合に、読み方も確実に権利保護するには、カタカナ(読み方)も商標出願した方がよいと考えます。

例えば、フリマアプリの商標である「mercari」は、メルカリと呼ばれていますが、初めて目にした人は、メルキャリ、マーカリ、マーキャリと読むことも想定されます。メルカリという読み方も保護したい場合には、「メルカリ」でも商標登録を行う必要があります。

「mercari」の名前の由来は、株式会社メルカリの説明によると、マーケットという言葉の起源であるラテン語の「商いする(mercari)」という用語から来ているとのことです。

このように、例えばラテン語など、日本で一般的に知られていないような言葉や、オリジナルで考えた造語などで、スペルや読み方が特徴的な場合には、アルファベット・カタカナ両方出願する方がお勧めではあります。

なお、現時点で両方の出願を行うことが費用的に難しいという場合は、まずは、よく使用される方の表記で出願しておき、後からもう一方を出願する、ということも可能です。

4.アルファベットの大文字と小文字の扱い

日本の商標制度では、アルファベットの大文字と小文字では、どちらで商標登録しても権利範囲に大きな違いはありません。このため、実際によく使用されている表記で出願すればよいでしょう。

なお、海外においては、その国ごとの商標制度によって異なります。実際に使用している表記で商標出願することが原則ではありますが、複数パターンの表記を使用している場合には、弁理士にご相談頂ければと思います。

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    執筆者
    cotobox編集部
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